何歳になっても、心躍るものがある。
散歩中にたまたま見つけた駄菓子屋さんや、あえて歩道橋を選んだ夜の帰り道。ちょっと遠出した日に出会った、海沿いの道を歩くネコ。
いつもの1日が、いつもよりちょっと良い日に変わる瞬間。10年後も覚えているような劇的な日ではないけれど、今日は私が主人公なのかも、と心が躍る。
ただ、いかんせん食べることが大好きなので、結局は「特大パフェ」とか、「食べ放題」の文字で簡単に心が躍ってしまうけれど。
食べることが大好き、ということを差し引いても、何歳になっても私の中で燦然と輝き、心躍らされるのが「お子様ランチ」である。
「お子様」だった頃から心はほとんど成長できていないというのに、気づけば見た目だけ大人になってしまった。「お子様ランチ」という名前に門前払いをくらい、食べたくても食べられない。何歳になっても、チキンライスに刺さっている旗がうれしいのに。
Brown Books Cafeには、「大人様ランチ」と称した、チキンライスがある。
綺麗な山を描いて盛られた、どこか昔懐かしい味のチキンライスのてっぺんには、もちろん旗が刺さっている。となりには、優しい甘味のゆでたまごと、しっかり焼いた、食感の楽しいウィンナー。お子様ランチよりシンプルに、じっくり味わって食べる、これぞBBCの「大人様ランチ」。
……なんてかっこつけても、やっぱりこの旗を前にすると、どうしようもなく心が躍って、まだ背丈の小さかったあの頃に戻ってしまう。
子どもの頃に食べていたチキンライスよりうんと素敵で美味しいけれど、母が作ってくれたチキンライスも久々に食べたいな、なんて思いながら。
ぜひ、一人一人の思い出と共に、ゆっくりとお時間のあるときに。

BBC staff 渋川