珈琲のお供、トーストやスイーツなどあげればキリがないけれど、私にとっての一番は本。平穏という言葉はこの二つが目の前に並んだ瞬間にあるようなもの。
今年は、幼い頃から親しんだ絵本作家や作家さんの訃報が続いた。
「ねないこだれだ」などオバケシリーズのせなけいこさん、
「ぐりとぐら」の中川李枝子さん、
「はれときどきぶた」の矢玉四郎さん、
漫画家の楳図かずおさん、鳥山明さん、
詩人・翻訳家の谷川俊太郎さん。
小さい頃読んだ本のことを思い出すと、不思議だが、友達の家で読んだ本や、貸してもらった本の方が強く記憶に残っている。というのも、我が家も両親ともに本好きで絵本もあったはずだけど、誤解を恐れずに言うとふつうできれいなかんじの絵本だったんだと思う。
それに比べると借りた本は「ねないこだれだ」にしても「はれときどきぶた」にしてもインパクトがあって、ストーリーも絵もなんだか癖があって面白かった。まぁそれは好みなんだろうけど、生まれて数年でも好きな趣向というのは存在してて、今とほとんど変わらないアンテナでキャッチしていたんだなと振り返る。
亡くなってしまったニュースは悲しいけれど、名前が並ぶと好きな絵本の背表紙を見つけたようで、穏やかな気持ちにもなる。そしてみなさん八十歳、九十歳を越えて長生きである。
創作って大変だと思うが(軽い言い方ですみません)モノを作る人はオリジナルを追求するよりも、自分を無にしている感じがする。そして子どもの頃必ずみんなが持っている、発見したり何かができるようになった時の嬉しい気持ちや、これはどうなっているのかな?というワクワクや疑問を、ずっと持ち続けているんじゃないだろうか。
Tシャツと短パン、泥だらけの身軽なままで、公園の緑のフェンスよじ登ってどこまでも行っちゃいそう。
前に、テレビで「魔女の宅急便」の作者・角野栄子さんが「子どもに喜んでもらおうと思って書いたらきっと子どもには響かない。自分が面白いと思うことを書く」というようなことを言っていた。絵本も児童書も、何歳になって読んでも「ねぇねぇ聞いてよ!」と気さくに話しかけてくれるような感じがするのはそのためかなと思った。
そういえば大好きだったアニメの声優さんたちも、次の巻へ行ってしまった。
今年の天国はにぎやかだろう。
悟空とブウが空中戦してる下で、ちびまるこちゃんがフーッとお茶飲んで、ぐりとぐらがちょろちょろして、ドラえもんがヘンテコな秘密道具を出してる横で、まことちゃんがグワシ!してるかもしれない。
あ、やっぱりちょっとさみしい。
一人でページをめくる幸せを、初めて教えてくれたみなさんに感謝します。
いっちょまえに珈琲を飲むような歳になったけど、ずっと大好きです。
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Chihiro Taiami