今朝もコーヒーを淹れていて、ふと思いました。コーヒーはどうして「の」の字に注ぐのか?
なんの疑いもなく、ハンドドリップするときは、何日も何年も当たり前のように「の」の字で淹れてきました。「かもめ食堂」の映画でも、おじさんは「コピ・ルアック」と唱えたあと、お湯をくるくる注いでます。
最初に粉の真ん中から外に向かって軽く一巻き。粉が膨らんでいくのを確認したら、続けて二巻き、三巻き…外にいったりうちに戻ったり。お湯の落ちるスピードや着地点で粉の形が変わって行くのを見ると、無心になり、いつしか駒をつまんで世界を創っているかみさまのような気がしてきます。かみさまって案外ぼんやり世界を創ってたんでしょうか。
よく言われるのは「の」の字なんですが、てん、てんと垂らしながら注いでいくという違うやり方もあるみたいですね。
要は同じところに注ぎすぎてはいけない、ということを意味しているらしいです。
コーヒーの成分は、お湯を注ぐと、粉の中心から表面へゆっくり出てくるので、同じ所に注ぎすぎてしまうと、成分がなくなった粉の所をお湯が流れているだけになり、薄いコーヒーになってしまう。
だから、ゆっくり注ぐと濃い味わいになったり、速く注ぐとスッキリした味になったりする、なんていうのもお湯のスピードと粉の当たる面の関係によるものなんですね。
またお湯の温度によっても出てくる成分で苦味や甘みのバランスが変わります。
速さ、温度、愛情、偶然のなにか…注いだもので出来上がるコーヒーは、人生に似てる!?
さぁ今日も、自分のペースで回していくとしよ。
参考:「コーヒー「こつ」の科学」 石脇智広
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Chihiro Taiami