この本を読みながらコーヒーをのみたい!と久々に思いました。
「ザガズー」という絵本です。
イギリスの児童文学作家、クェンティン・ブレイク作、翻訳は谷川俊太郎。
あるところにしあわせなふたりがいました。そのふたりのもとに、ある日こづつみが届きます。中を開けてみると、入っていたのは「ザガズー」と名札のついた、ちっちゃなピンク色のいきもの。
ふたりはそれをほうりっこして素晴らしい毎日をすごします。
でも、そのピンク色のいきものは成長するにしたがってさまざまなものに姿を変えていきます。例えばはげたか、ぞう、イボイノシシに、りゅう。ふたりはどうしたらいいのか困ったり、掃除道具を持ってあとを追いかけたり。
素敵な絵と、簡潔でテンポのよいおしゃれな文章。
そして最高のオチ!
こんな豊かでユーモア溢れる目で人生を捉えることができたら、小さなことにくよくよせず、些細なことにも楽しみをみつけれられるでしょう。時間の流れの中で、強いものが弱くなり、弱いものが強くなっていく。あるものは成長し、あるものは老いていく。助けているつもりが、いつのまにか助けられている。長い目でみると平等で、シーソーのように、もちつもたれつ、順番こ。
谷川俊太郎のまえがきを少し引用します。
「大人は自分のうちにひそむ子どもを、ともすれば忘れがちです。うちなる子どもを認めるのがこわいからです。まだ人間になりきれない、不思議な生きもの、そこにこそ子どもの成長のエネルギーがひそんでいるのではないでしょうか。
ー中略ー
大人は老いるにつれて子どもに戻っていきます。今度は大人になった子どもが、子どもに戻った大人とともに生きていくのです。それがまた新しい苦労(と喜び)の始まりだということも、ブレイクは暗示しています」
気持ちを切り替えてちょっと違う角度からものごとをみたい時。頭がふわっと軽くなって、少し上空から時間をみわたせるような、そんな一冊です。
コーヒーをお供にぜひどうぞ!
「ザガズー じんせいってびっくりつづき」
クェンティンブレイク・作 谷川俊太郎・訳
好学社
-39-
Taiami