Coffee Column
コーヒーコラム
ブラウンブックスカフェのコーヒーにまつわる日々のコラム

Yoko Hoshikawa
ブラウンブックスカフェ/ブラウンブックスヴィンテージ店主。
コーヒーとHip Hop を愛する2児の母。札幌在住。
Chihiro Taiami
妖怪が大好きな円山店時代の元スタッフ。
4人の子供の育児の合間に当店のコラムを担当している。道南在住。
  • title
    わたしとコーヒーの木
  • date
    2023年09月09日

コーヒーは、植物で、生もので、イキモノです。

とは言っても、私たちがふだん出会うのは、焙煎された後の茶色い豆。この豆という言い方も、実は正しくはありません。

コーヒーは、<マメ科>ではなく<アカネ科>で、コーヒーノキ属に属しています。コーヒーノキ属って、なんかそのまんまで可愛いですね。

この木にジャスミンのような香りの白い花が咲き、コーヒーチェリーと呼ばれる赤い(または黄色い)実をつけます。その中に入っている種子がコーヒー豆です。通常一つの実の中に種子がふたつ。

ということは!?コーヒー豆は、実はマメではなく、タネなのです。

バイヤーでも焙煎士でもない私が、実をつけるほどに成長したコーヒーの木に出会ったのは人生で三度です。

一度目は沖縄のコーヒーファームです。

コーヒーは赤道近くの暖かいところで育つ植物です。沖縄には、約百五十年ほど前にはコーヒーの木が持ち込まれていたようです。久しぶりに調べてみると、今は観光農園や、農園キャンプをやっているところなどもありびっくりしました!自分で摘んだコーヒーでモーニングコーヒーを淹れる、なんて絶対やってみたい!!

話はそれましたが、学生時代の仲間と行った沖縄。誰もそこまでコーヒーに思い入れはなかったけど、わがままを言って連れて行ってもらいました。

沖縄北部まで長いドライブ。ああ。時間ない。一応電話してみよう。とわーわー言いながら、着いたらやはり営業時間が過ぎていました。でも、待っていたお店の方が親切に対応してくれ、この農園の成り立ちのことなどを教えてくれました。コーヒーの葉のお茶もいただきました。

十年もののコーヒーの木を見せていただいたのですが、時すでに最後の日の光が沈んだくらいの夕暮れというか夕闇。コーヒーチェリーが闇にぼやーっと浮かび上がっていました・・・。でも、息せき切らせて辿り着いた沖縄の、そのぼやーっとしたコーヒーの木が、私にとっては、コーヒーの木と初めて出会った大切な思い出になりました。

二度目はコーヒーと妖怪の聖地、インドネシアのバリ島で。

ハニームーンというやつで行ったのですが、ガイドさんに連れて行ってもらった農園は、カカオや他の植物も育てているところでした。

コーヒー単体で育てている区画もあったけれど、山の中に色々な草木が生えていて、その中にコーヒーの木がひょっこり現れたりしたのが印象的。植物の一つなんだよなぁ。きっとこうやって野生に生えていたんだなぁというしみじみした気持ちになりました。

ジャコウネコも寝ていました。

たぬきみたいな顔をしたこの動物がコーヒーチェリーを食べると、果実が消化され種子(コーヒー豆)がフンと一緒に出てきます。それを綺麗に洗って作られる豆は「コピルアク」と呼ばれます。

鍋でコーヒー豆を炒る、カラフルな模様の服を着たおばあさんもいました。

連れは農園の人たちとコーヒーと煙草で一服。そういうふうに人が一緒にリラックスする時間は、国も言葉も超えるという風景を見ているようでした。

三度目、それはまさかの実家でした。

数あるアロエやクジャクサボテンにまぎれて、冬の寒さに何度も弱りながらも、ヒョロヒョロとのびたコーヒーの木の鉢植えがありました。

ある日、母から「コーヒーに花が咲いて実がなった!」と電話が来たのです。

かけつけると、そのやせっちょのコーヒーの木に、本当に白い花と、沖縄やバリで見たのと同じまっ赤なコーヒーチェリーが三つ、ついていました。感動してしばらく眺めたあと、一つの実を割ってみました。

中には向かい合った、ぬるぬるした二つの種。なんて可愛い。赤ちゃんなのに、もうコーヒー豆の形をしています。コーヒー豆は乾燥させて焙煎して飲むんだと親に偉そうに講釈たれながら、出窓のところで数日乾燥させることにしました。しかしいつしか忘れ去られ、その二粒はどこかに行ってしまいました。

また実がつくといいなぁ。お母さん、来年もひとつよろしくお願いします。

そんなこんなでコーヒーの木との思い出を綴ってみました。

最後に、コーヒーの木の花言葉を。

「一緒に休みましょう」

忙しい時もコーヒーと一息、いい時間を!

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Chihiro Taiami

  • title
    七年後の夏休み
  • date
    2023年08月20日

今年の夏は大きな計画を立てないことにしていたら、次々と来客が来たり、思いつきで日帰り旅行をしたり、子供たちと水鉄砲や花火や少年漫画を読むなど、何てことないけどいい夏休みになった気がする。

そんななか約七年ぶりに、店主が家族と共に我が家に会いにきてくれました。

一緒に働いていた頃はお互い20代から30代前半。夢、恋愛、仕事、コーヒーへの愛、海外セレブのゴシップなどを毎日熱く語り、「マイホームを持つ意味がわからない」とかなんとか言って、結婚とか家庭とか、そう言うものよりもっとほかの、好きなものや興味のあることでいっぱいの日々でした。

そんな二人が今や母ちゃん。

私が「店長」と呼ぶと娘も「てんちょー」と呼ぶ(この呼び方をする人は今はいないらしい)

店長がペーパードリップでコーヒーを淹れていると、六歳の息子が「オレもやりてえ」と即席コーヒー教室が始まる(「いいですよー」の口調、私が働き出してドリップ教えてもらった時と変わらないなー)

店長の子供は虫かごの中の「キマワリ」という虫を大事に抱えている(虫はいろんなこと教えてくれる一番の先生なんだよね、本当に)

子供同士オレオのクッキーのブロックを向かい合ってニコニコ食べて遊んでいる(本物あげればよかったな)

うちの実家から、近くの農家で買ってきた朝もぎのとうきびと枝豆の差し入れが来る(朝もぎ即茹でが本当に美味い)

せっかく来てくれたんだから名物の焼き鳥でも買っておけばよかったと思っていたら父ちゃんが買ってきてくれる(近所の行ったことない焼き鳥屋さんで持ち帰りしようとしたら、一見さんの持ち帰りお断りの雰囲気)

夜はみんなでお絵描き大会。狭い正方形のコタツを囲んで、こどもたちがカブトムシやとうきびを思い思いに描く(この日を機に息子のカブトムシの絵は足の先に爪が描かれめちゃめちゃリアルになる)

花火の時に、火花に照らし出された店長とこどもの姿や、お風呂場から聞こえてきた声にしみじみ(お母さんなんですねぇ)

早朝には店長の旦那さんが初対面のうちのおじいちゃんと一緒に釣りに行く(こういう不思議な出会いが楽しいね)

家族ぐるみを超え、もはやおとなもこどももなく、個人と個人が自由に行き交っているような空間でした。

大漁で帰ってきた釣り人たちの満面の笑み。

チラシの裏紙に絵を描いていた時のみんなの表情。

近所のおじさんがくれたクワガタを大事に虫かごに入れて、手を振りながらも虫に釘付けだった帰りの車のこどもたち。

いろんな顔が浮かびます。

こんな日常の中に連なって珈琲と仕事がある。モノクロの飲み物が彩りを加えてくれる。

なんにせよ登場人物が増えましたね笑

また会おうね!

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Chihiro Taiami