今では街のいたるところにあるカフェや喫茶店。皆さんはどんな目的で行くことが多いでしょうか?
17世紀にヨーロッパに伝わったコーヒーは当初、貴族たちが楽しむなど一般的ではありませんでしたが、コーヒーハウスやカフェが登場すると市民階級にも広がり、身近な飲み物になっていきます。
今では紅茶のイメージが強いイギリスも、17世紀は実はコーヒーの国。ヨーロッパで最初にコーヒーハウスの流行を迎えたコーヒー先進国でした。市民たちは政治の話をしたり世間話をしたりする交流の場としてコーヒーハウスをフル活用。
それまで人々が集まる場といえば居酒屋、宿屋など酒を飲ませる店ばかりで、真面目に話していても最後はみんなで酔い潰れていましたが、コーヒーハウスの出現で、シラフどころが飲めば飲むほど頭がスッキリして語り合えるようになりました。一見さんでも常連でも、貧富の差も関係なく入店でき、入場料を先に払って、コーヒーはその都度カウンターにいるおかみさんに頼む方式が一般的。値段も安く、一度入ればさまざまな会話に参加可能で、コーヒー一杯でなんでも学べると評判でした。
その後、立地や店ごとに発展し、仲買人の商談の場になったり、海運交易の保険業が始まったり、コーヒーハウスで得た情報を元に新聞を作り、それをコーヒーハウスのカウンターに置いてもらい多くの読者を得るというスタイルも生まれました。
妻たちが「コーヒーは出生率を低下させる」と抗議のパンフレットを配るほど、男たちは経済、政治、ジャーナリズムの談義に酔い、入り浸り、熱く語り合いました。
今回は17世紀から18世紀のイギリスの「コーヒーハウス」を見てみました。
コーヒーハウス、カフェ、カフェー、喫茶店、珈琲店など、時代や国によっても呼ばれ方は様々。女子禁制だったり、会員制だったり、スタイルも様々。
でも、変わらないのはコーヒーはいつも主役ではなく、さりげないお供です。それでいて静にも動にも力を発揮する手助けをしてくれるという絶妙なポジションが、カフェという場で、コーヒーが求め続けられる理由なのではないかなと思います。
あなたにとってカフェとは?
さぁ明日はどんなカフェに行こう。
参考:「珈琲の世界史」丹部幸博
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