「私も趣味でこんな店やりたいわぁ」って何度もお客さんに言われた。
趣味じゃねぇよ!!!!毎日が命がけだよ!!!!って心の中でいつもブチ切れていましたが(笑)、今考えるとそう思われていたのはある意味カフェとして成功だと思う。そう思われるべき存在なのが喫茶店でありカフェだと思う。
はぁ…
この写真を見るだけで、言葉が出てこなくて、ブログもなかなか書けませんでした。深いため息と同時に、でもだからこそ今があるんだと確信する。
最初は売上げがなさすぎて、安くしてくれた家賃も払えなそうだったので、バイトを2つしていた。焙煎元とすすきののソウルバー。
開店して数日間は大好きなヒップホップを大音量でかけていたけど、雰囲気が合わなくて渋々諦め、でもBGMは絶対ブラックミュージック!と決めた。コーヒーは有機栽培豆をネルドリップで1杯¥600、そして家中の本を全て並べた。
全国で有名な喫茶店”森彦”の真向かいに店を出したのも、もともと喫茶店や飲食店よりも自分は物を売る方が好きだったので、サッポロ珈琲館時代と同様、豆売りメインにして、もしたまにここで飲みたいと言われたら2階に案内しよう。
しかし、その考えが甘かった。駐車場もないのに次から次と車で来るお客さんは皆カフェ利用したいとの事。ご近所から怒鳴り込みの苦情がきた。
しかも1番の難題は2階のカフェスペースに行く階段が外階段。
1階でコーヒー淹れて外出て2階に運ばなければいけなかった。しかもコーヒーを出したら店員は1階に戻るので、
知らないお客さん同士が近距離で密室に閉じ込められるというシステム。笑
しかもなんと言っても寒い!!!!!
もう言葉で表現できないぐらい不便すぎた。隠れ家って完全に隠れきっちゃってるし!売上げ上げたいのに、せっかく人が来ても駐車場ないとか、2階見るだけ見て写真撮るだけ撮って、皆次々と帰っていった。自分は何のために店をやっているのか、帰って行くお客さんの背中を見ながら途方に暮れていた。
お先真っ暗で毎日、どうしよう、こんな店あり得ない、問題だらけだ、ご近所には存在自体が迷惑なんだ…と落ち込みながらも、もう開き直るしかなく、不便を売りにしよう!と決意。笑
”不便な店です”
”8席しかありません”
”コーヒー運ぶのに時間がかかります”
”禁煙です”
”寒いです”
”相席させて頂きます”
”駐車場はありません”
とマイナスを売りにしまくった。笑
それでも次々と来てくれたお客様にとって一体何が魅力だったのかと言うと、当時札幌ではまだブックカフェというのが一般的に知られていなかった事。取材とかで「なぜ本とコーヒーなんですか?」とよく聞かれた。
そして最大の魅力は建物。
どんなに一生懸命やろうがカフェなんて潰れる率NO.1。最初なんて中身空っぽ。惹きつけられるのは建物だけだったと思う。
ホームページの写真を見て、新潮文庫のシャーロックホームズの装丁を手掛けた東京の玉浦さんから突然電話がきて、図案展をうちの店でやる事になった。初めてのイベントで前日は徹夜しかなりテンパったがいい思い出。(仕事ができなかったので徹夜すればいいと思っていた)
デメリットだらけでも、なんとか毎日、不可能を可能にしようというモットーで、問題1つ1つを工夫して解決していった。この経験はものすごく役立った。
あと、スタッフには、昔ポスティングしたチラシを見て出会った豊永さんとホームページをお願いしていた山田さんという一回り以上歳上の方、2人が時々店番してくれていた。
少しづつ忙しくなり、土日働けるスタッフを入れようとブログで告知し、1番最初に電話をくれたまゆちゃんという子が面接に来た。もちろん初めての面接で、何を聞いたらいいのかわからず、近所に住んでいるから交通費がかからないと、その場で即採用。笑
少し体が弱かった為、より体力とやる気に満ち溢れた人が必要だった。
そんな時、突如現れた、体阿弥さん。色んな人によってうちの店は作られたが、ブラウンブックスカフェはこの人なしでは語れない!
つづく