Coffee Column
コーヒーコラム
ブラウンブックスカフェのコーヒーにまつわる日々のコラム

Yoko Hoshikawa
ブラウンブックスカフェ/ブラウンブックスヴィンテージ店主。
コーヒーとHip Hop を愛する2児の母。札幌在住。
Chihiro Taiami
妖怪が大好きな円山店時代の元スタッフ。
4人の子供の育児の合間に当店のコラムを担当している。道南在住。
  • title
    ある母ちゃんの珈琲記 vol.2 0時の昆虫のはなし
  • date
    2021年09月22日

今年の夏も暑かったですね。

アイスコーヒーがぶ飲みでした。タンブラーに入れて、子どもたちと虫取りに走りました。コーヒーってこんなに持って走るものだっけ。さてさて、今年の夏はこれを書かなきゃ終われません。それは、この夏出会った昆虫たちのことです。

虫っていうのは成長に関わる一人の先生じゃないかというくらい、色々なことを教えてくれました。

深夜の虫カゴの中、ブンブン羽音を立てながらメスを追い回すオスのカブトムシの執念はこわいくらいだったし、前日の夜、一緒に昆虫ゼリーを食べていた対のクワガタが、朝起きるとメスがオスのクワに挟まれて半分首がとれた状態になっていたり。それでもひっくり返って、わずかに手足を動かしながらしばらく生きている。死んだメスは土に埋めたのですが、翌日アリが列になり、カラダを分解して運んでいきました。

カマキリが首を振りながら可愛いらしいく無糖ヨーグルトを食べていたと思ったら、トンボをカマに挟んで頭からむしゃむしゃと食べる、本来の姿も見せてくれました。

以前はハチをみると攻撃されるのではないかと思ったけど、そうっとしていればこわい存在ではなく、野菜や果物が果実をつけるための受粉のお手伝いをしてくれていることもわかりました。

あんなにちっちゃくてパリッと割れてしまいそうな殻のカタツムリが越冬し、三年かけて大人になることにもびっくりしました。ダンゴムシは前と後ろ半分ずつ脱皮すると絵本で読んだけれど、まるっと全身脱いだ皮を発見することもできました。

香川照之の昆虫番組を見て、オニヤンマのオスはメスを探して川の周りをぐるぐる回っているから必ず同じ場所に帰ってくるはずだと、虫あみを握りしめ、逃したオニヤンマを待つ息子の姿がありました。

アゲハの幼虫は、誰がこんな色にしたのかっていうくらいとても鮮やかな緑と黒とオレンジの模様。サナギになる時は、その綺麗な柄の皮が、クシャクシャに脱いだ靴下のように、サナギの先っぽにぶさらがっていました。殻から出てはこれたものの、羽が縮れたまま、広げられなかった子もいました。

生きるパワーはすごい!

彼らには嗜好品なんていらない。短い命をパッと輝かせて生きている。人間はだらだらと生き、コーヒーを飲み、泣いたり笑ったり、虫に比べればたっぷり時間がある。だけどその豊かな感情と、時間があるからこそ、ただコーヒーを飲むということに幸せを感じることができるのかもしれません。だらだらとマグカップを片手に虫カゴを覗いている0時。

来年はどんな夏になるだろう。

chai

-8-

  • title
    図書館のにおい
  • date
    2021年09月10日

みなさん図書館は好きですか?

近ごろはカフェが併設されていたり、グリーンがあったり、照明も間接照明のような柔らかい雰囲気だったりとリラックスして過ごせるところも多いですね。

昔からの蛍光灯の似合うような図書館もまたいいです。

子供の頃、夏に図書館にいくと、涼みにきたおっちゃんが本を片手にぐおーと椅子で昼寝をしている光景も見かけました。

椋鳩十の動物シリーズや水木しげるの妖怪図鑑、赤毛のアン、角野栄子の魔女の宅急便も図書館で出会いました。魔女の宅急便は表紙も好きでした。週一回のピアノのレッスンで先生にがっつり怒られた後、母の迎えを待つあいだ近くの図書館にいたことが多かったです。絵本コーナーの緑のカーペットは今も鮮明に思い出せます。

本の最後に挟まっている、今まで借りた人の名前が書いてある貸出カード。新しい本では真っ白なんですが、昔からある本だと若干色あせて黄色くなっていたりする。あのカードを思い出すとなんだかいい匂いがします。ジブリの耳をすませばの映画では、あれが主人公と男の子の出会いですね。図書館の方が名前を書いてくれるというひと手間に、こちらも丁寧に扱わなきゃと感じたことを覚えています。

あらためて当時の図書館に想いを巡らすと、五感で色々なものを感じていたんだなぁと思います。

今、私が住んでいる小さな町では、図書館もそんなに大きくありません。でも読みたい本で在庫がない場合、だいたいの本はリクエストすれば1〜2ヶ月後には近隣の図書館から取り寄せないし購入をしてくれます。

図書館は貸し出し期限があるので、いわゆる積ん読にならずにすみます。この町の図書館のコーヒーの本が豊富になって、いつでも読みたい時に読めたらいいなぁと、本棚のすみっこ私物化計画を企てております。

旅行や外出は制限されてしまいますが、お家で好きなお店の豆を挽いたり、コーヒーのテイクアウトをして、図書館で選んだ本の世界にトリップ!なんていうのも、この秋の楽しい過ごし方ではないでしょうか。

chai

-7-