SNS最盛期の昨今、ひっそりとお送りしているこのコラムを読んで下さっている皆さまは、「BBC歴」どれくらいでしょうか。
スタッフの名前も顔も全部わかる!なんていう常連の方から、実はまだ行ったことない…という方までいらっしゃると思います。
かくいう私も、実はまだまだ歴の浅い新米。15年以上続く長い歴史の中の、1ページのはしっこにもお邪魔できないくらいです。
初めて訪れたのは、2年程前の夏だったと思います。古びたビルの3階。初めて見るレベルの急な階段を前に、「なにこれ!?いま地震きたら私たち終わるよね?」と友人に話したのを覚えています。
一抹の不安を抱えながらたどり着いた先は、私が思う「かわいい」を詰め込んだような、ドンピシャのお店でした。
狭い店内に、コーヒー豆やクッキー、食器が並んでいて、思わずキョロキョロと辺りを見渡してしまうような、端から端まで魅力が詰まった空間。奥にあるカフェスペースは大きな窓が開放的で、陽の光にあたってきらきらと輝くレモネードを見るだけで、うんと涼しくなったのを覚えています。
まさに、お気に入りを詰め込んだ屋根裏部屋。隣の柱にねずみの絵を見つけました。頭の中で想像する、こういうのが好きだな〜という漠然としたデザインを具現化したような場所に、ついに出会ってしまいました。あの時の高揚感は今でも忘れられません。
場所は「和田ビル」。その3階にある、コーヒーの匂いが染み付いたちいさなカフェでした。
その後、カフェスペースは現在の店舗へと移り、ご縁があり、今度はスタッフとして狭い階段を上がる日がやってきました。和田ビルほどではないですが、またも急な階段です。和田ビルにはその後姉妹店の雑貨屋が入りましたが、こちらもこの度カフェと同じ建物へ移ることに。和田ビルとBBC、ついにお別れです。
和田ビルで勤務していたスタッフや、足繁く通って下さっていたお客様。ファンの1人だった私の中にも、たくさんの思い出があります。
「出会ってしまった!」と衝撃を受けたあの日のときめきを忘れずに、私は今日も変わらず、狭くて急な階段を上がります。
今頃あの屋根裏部屋は、今までの活気が夢だったかのように、しーんと静まり返っているのでしょう。そう思うと寂しさがつんと来ますが、今にも飛び出してきそうだった柱のねずみだけは、やっと好き勝手できると喜んでいるのかもしれません。
staff 渋川